女の逆襲
「シ・シオリ、なんか…全社allにへんなメール来てるけど…
コレ・・・ほんとなの?なわけないよね…さすがに・・・」
隣のデスクの同期・明代がPCの画面に釘付けの状態で話しかけてきた。
(ユーガッターメエル!ユーガッターメエル!ユーガッターメエル!…)
オフィス中に鳴り響くメールの受信音。
あまりの衝撃で、明代と目を合わせることができない。
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Subject:ナカムラシオリは泥棒猫
message:
ナカムラシオリは得意先の桜井カズキとデキてる。
先週桜井の嫁に黙って行った奥多摩の紅葉はきれいでしたか?
遊ばれているとも知らずにおめでたい 子で、
愛されていると勘違いしている鈍感女。
こんな可哀そうなナカムラシオリがこれからも会社で活躍できますように。
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悩みを相談した翌日にはこのありさま。
やっぱり美香とマイにカズキのことを打ち明けるべきではなかった。
と、後悔してもあとの祭り。
美香とマイが一緒に出社してきた。
どうせきっと、会社の行きしなに、シオリが今日ショックを受ける顔が楽しみだね、
とでも言い合って盛り上がっていたのだろう。
女の友情ほど、もろくて、汚くて、嫉妬深いものはない。
こんな仕打ち、あまりにもひどすぎる。
好きになった相手はみんな同じなのに・・・
親友だった美香とマイが自席についてPCを開く。
顔を見るのがつらい…
でも、PC画面の延長線上に美香とマイのデスクがあるから嫌でも目に入ってしまう。
(ユーガッターメエル!ユーガッターメエル!ユーガッターメエル!…)
そのとき、驚いた表情でPCの前でフリーズしたのは美香もマイも一緒だった。
え?なんであの二人も・・・??!
と、そのとき、シオリのケータイがなった。
嫌な予感がした・・・
「今頃会社で青ざめている頃でしょう?」
差出人のメアドは見たことがないアドレス。
いや待って!
ドメインの前のアドレス…
surfin-loveko@chomoranma.xx.jp
カズキのはたしか・・・
surfin-loveo
かずきの嫁にバレたんだ。
その瞬間、シオリの背中から一筋の汗が流れるのが分かった。
カズキの嫁からのメールの内容はこう続いていた。
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旦那からは以前より、つきまとわれている女性がいると相談は受けていました。
「自分はあなたに興味がない」と伝えても全く受け入れてもらえず、でも、得意先様なので適当にはあしらうこともできないと本人も悩んでいます。
これ以上、わたしたち夫婦を悩ますようなことはやめてください。
最近のあなたの異常な行為で旦那はひどく弱っています。
会社にメールをしたこと、ご容赦ください。
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