プライドがチョモランマで崩壊しそうだってよ

プライドが高い33歳女子の普通の日常を小説形式でお届けします。

会社を辞める

 


全社ALLのメールで個人名指しの不倫暴露メールが送られてきは、上層部が黙っているはずがない。

 


周りがまだヒソヒソと話している中、部長の長田さんに呼ばれた。

「中村さん、今時間いい?応接室きてくれる?」

 


応接室に行くとそこには長田部長だけでなく、人事部長も同席していた。

 

 

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------------察した-----------

 

 


人事部長が同席しているなんて、もう私はこの会社に残る事が出来ないということだろう。

 


「なんだか大変なことになってるね?まずは事実確認だ。あのメールの内容は本当か?桜井君もうちのこに手を出すなんてやってくれたもんだよ・・」

 

長田さんには新卒入社のときからお世話になっていて、プライベートな話もするほど信頼関係を築けていた。
こんな形で信頼関係を壊してしまうなんて・・

 


「申し訳ございません、事実です。」


愛し合ってた確信はあったけど、今それを言ってもどうしようもない。

取り乱す無様な姿を長田部長に見せるなんて恥ずかしい。今にも泣いてしまいそうだったが、弱い自分を出すわけにはいかなかった。

 

「中村さん、人事部の山辺です。プライベートな部分が会社全体に通知されてしまいお辛いとおもいます。
今後もおそらくウワサは続くでしょうし、このような事態が発生した場合、出世も厳しいと思います。
お取引様にもすぐに話は広まるでしょう。今のまま総合職で続けていくのはご自信の精神がもたないと思います。
それで・・」

「ヤメサセテイタダキマス・・・」

 

  


頭が真っ白なまま口が勝手にそう言っていた。

 

 

 

 

 

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その後、何を話したかなんてたいして覚えていない。

 

 

 

 

 


結局メールが送られた日から有給休暇を取得することになり、急に30日間も休む事になった。
もちろん転職活動をしないといけない期間ではあるが、忙しく働いていた体、そして心をゆっくりと休めようと思った。

 


カズキとはあの日以来連絡を取っていない。
カズキのせいで私の人生が狂った。

両親に会社を辞めると告げたときも泣いて止められた。

本当のことは言えない、だからついウソをついた。
「女の先輩にくだらないいじめをされた。精神的苦痛で生理が止まった。あんなとこで働き続けたらもっと身体を壊してしまう。
同期も仕事バカばかりで話のレベルが合わない。正直名前だけで中身空っぽの銀行」


そしたらそのウソを信じたようで、「それなら仕方ないね」と言ってもらえた。


不倫が全社にバレタ。なんて本当のことは絶対に言えない。
ウソを言う事で平和になる。ウソが平和を作る事もある。これでいいんだ。

 


・・・・・・・・・・・・

 

 

毎日、何も考えていないのに涙が出る。

 

 

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~涙の数だけ強くなれるよ アスファルトに咲く花のように~

 


カズキのイヤフォンから漏れた岡本真代のトゥモローがリフレーンする。

こんなに悲しいことがあってもカズキを忘れられない。

 

自分は泣いても強くなれないし、ただの雑草。

 

 

 

 

でも、負けない。アスファルトに咲く花になるために。



明日は来るよどんな時も
明日は来るよ君のために”